あラやしき@神田連雀亭38

まずは本のご紹介。

6年前に出版されてる本だから、

落語好きはとっくに読んでるファイバリットブックなのかもしれなくて、

今更ですいませんが、

「ギンギラ☆落語ボーイ」(著・三遊亭白鳥)を読了。

落語好きにはオススメの隠れた(失礼!)名著だと、興奮の読後感。

特に二ツ目好きにはタマらないものがあるはず。

若手のお笑い芸人を扱った芥川賞小説「火花」(著・又吉直樹)も

とても面白かったですが、個人的には「ギンギラ☆落語ボーイ」推し。

一人のダメな二ツ目落語家が、良い出会いに恵まれたり、

死と隣り合わせにあったりして、「客を満足させる落語家」として矯正されていく話。

落語をそれほど知らない僕みたいな初心者でも楽しめるエンタメ要素が満載です。

登場する人物も本当に魅力的でした。

奇天烈で天才肌の新作落語派の二ツ目・湖畔亭あひる、

秩父出身なのにエセ関西弁を使う(立川流がモデルだと思われる一門の)豆家小三郎、

只者じゃない四人の老人たち(元オペラ歌手、元舞台俳優など)、

主人公にキツくあたるモデルで席亭の娘の涼子、

そして、佐渡島出身で、落研時に「雪国の圓生」と言われた、

プライドだけは高い主人公・銀月亭ビョン太。

他、愛すべきキャラクターたちがたくさん。


中村義洋監督か福田雄一監督にぜひ映画化してもらいたい。


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さて、

1月30日は、ギンギラボーイズ、

柳家小太郎春風亭一蔵さんの二人会へ。

一蔵さんは二日連続(笑)

小太郎さんもそれほど日が空いてないので、

気を使われてしまい、逆に恐縮。


好の助さんが先日ブログで

「落語はたまに聴くから面白い」と

書いてて、文脈から

「同じ人の落語はたまに聴くから面白い」

だと解釈したが、さもありなんか。


番組は、

「ガマの油」 小太郎


「井戸の茶碗」 一蔵


お仲入り


「髪結床(本)」 一蔵


「引越しの夢」 小太郎


とはいえ、生ものである落語、その日その日で違う。

小太郎さんの「ガマの油」も、

ガマの油売りになった小太郎さんの「こんにちは!」の

呼びかけに対するお客さんの反応が前回聴いた時と違うし(笑)

ガマの油売りが使う日本刀の切れ味も噺の切れ味も良くなってる気がしたし、

楽しませてもらった。


一蔵さんの「井戸の茶碗」は歌太郎さんとの二人会での

ネタおろしの時も聴いたけど、演出がガラッと変わっていた。

相変わらず、登場人物それぞれ魅力的だが、特に飄々とした下男がよかった。

(やや時間配分の関係か、噺の運びというかテンポが早めだった感あり)


ちなみに、屑屋が細川家の屋敷を通り、侍に仏像を見せる際に、

部屋に上がらずにザルを窓から降ろしてそれに仏像を乗せて渡す演出は

志ん生大師と同じで志ん生好きとしては嬉しくなっちゃう(笑)


長屋の浪人の娘と、細川家の侍が互いに好き合ってる演出が

際立ち、人情ものに恋愛要素が色濃く加わって楽しく、

他の井戸茶と一線を画しているのでは。


「髪結床(本)」は、寄席で惨敗したばかりだったとか(笑)

町内の若い衆の寄り合い所的な髪結床で、

「太閤記」を読んでる男に、他の連中が暇だから読んで聞かせてくれと

頼むが…。全く読めないと言うわかりやすい滑稽噺。

(このあと、年増の女に好かれてる男が登場すると「浮世床」になるのかな。)

一蔵さん、古典的なマクラも面白く、

噺もバカバカしくて、ウケて、リベンジ。


小太郎さんの「引越しの夢」。はい、行ったばかりの「とうとう独り」(@落語協会2階)と全く同じ二席だったので、変に気を使われてしまったんですな。

「こっちは好きで行ってるので、同じ噺だろうが構わないですから」

と言う意味の、短いジェスチャーをしたけど、伝わったかは不明(笑)


それに、くすぐりが変わってるところや増えてるところもあって、

今回は今回で楽しかった。

やはり芸達者だなぁと感心しまくり。



二人の雰囲気、落語は、いつも明るくて陽気なパワーをもらえる感じ。

感謝!


落語と

連日、寄席、落語会、ホール落語に出かけて行きたいです。 その記録です。