「カリーズ寄席」@cafe kariz(麻布十番)(5)
2016年12月16日、この会も今のところ、無事毎月行けてる会。
柳家花いちさんと春風亭昇羊さんの二人会。
二人とも新作がすこぶる面白くて、
古典もそれぞれの色で演っているエッジの効いた若手さん。
番組は、
新作「河童祭りの由来」 昇羊
古典「時そば」 花いち
お仲入り
古典「黄金(きん)の大黒」 昇羊
古典「芝浜」 花いち
「河童祭りの由来」は、連雀亭で聴いたばかりだったが、
冒頭もくすぐりもサゲも変わっていた。
「単眼鏡奇談」の時もそうだったけど、昇羊さん、
二度目の方が物語としてバランス良くなっていると思うし、
面白さも増している。
こういうのをブラッシュアップというのだろうなと感心しきり。
「黄金の大黒」も、彼にハマっていた。若い衆の賑やかな感じも良い。
「狸賽」もこの噺もちょっとファンタジック(最後に大黒様が動き出すので(笑))。
昇羊さんは古典は古典でもファンタジックな噺が妙にハマるなと
個人的に思っている。
花いちさんの「時そば」はこれまた随所に花いち色がちらほら(笑)
おうむ返しの段で、まずい蕎麦のつゆ(だったか)が
「クイックターン」したり、おあげだと思いきや「絆創膏」が入ってたり(笑)
独自の(だとしか思えない)くすぐり満載だった。
いつか、小さん師寄りのシンプル(王道?)な「時そば」も聴いてみたい。
きっとそう演っても良いはず。
とはいえ、寒い季節にぴったりで、ちょうど「時そば」が
聴きたかったところに聴けて嬉しかったし楽しかった。
「芝浜」。大ネタきました。この会がネタ下ろしだとか。
滑稽も人情噺も出来て一流の落語家という認識だったが、
広瀬氏のインタビュー集の人気真打ち達は「芝浜」などちょっと臭そうな
噺はあえてしないという考えの人がちらほらいて(あくまでインタビュー当時)、
「今はそんな感じなのかなぁ」なんて思ったが、
花いちさんはどこ吹く風、
ガンガン人情噺に挑戦している若手の一人。
サゲ間際に、独自のめでたいエピソードと
カタカナのくすぐりをぶち込んできたけど(笑)
全体的に良かった。
彼のまっすぐな人柄だから出る味が沁み渡っている「芝浜」。
財布を拾うところを回想にするのが古今亭の型らしいが、
花いちさんのは違う。
顔を洗ったりした時に見つけるでもなく、
普通に財布を見つける。
でも、
畳を変えたのに気づいた男が「畳と女房は新しい…いや…」と言うところや、
女房が(夢だと)ウソをついた事を謝る場面で
「お手を挙げてください」と言うところは、
某動画サイトにアップされている、
三代目桂三木助師が亡くなった年の暮れに
演ったという志ん生の「芝浜」と同じだった。
偶然か。
それとも柳家の「型」の一部なのか。
とにかく、臭すぎず、爽やかだったし、
「また夢になるといけねぇ」の加減も良かった。
余計なお世話かもしれないけど、
二人とも(色々あるとは思うが)変な風にならずに、
このまま伸びていって欲しいと
切に願っている。
(クリスマス時期のショウウィンドウが綺麗だった)
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