「花いちの観笑地帯vol.23」@新宿ノマドカフェ「BASE POINT」3F 7

3月16日は、花いちさんの会へ。

この会も毎月楽しみにしている会の一つ。

(毎月カリーズ寄席と日にちが近いので、この時期は花いちweekに(笑))

2月は「十年目の花いち ふたたび」という大きな会があり、

この会はお休みだったので二ヶ月ぶりか。

毎回ゲストが一席、

花いちさんがネタおろしの新作一席と古典一席。

特に、新作のネタおろしは楽しみで、

本人が一番そうなのだろうけど、

聴く側も、期待と不安が入り混じる(笑)

個人的にはハズレはないのだけど。


考えてみたら、

若手噺家の新作ネタおろしを聴くのは

(カリーズがネタおろし縛りがなくなったので)

この花いちさんの会くらいか。


それにしても古典の稽古もやって、

毎月新作を作って稽古して…。

大変そうだけど、すごいな。

(決して両刀の噺家だけが大変だという意味ではありません。

古典派の労力も同じだと思うし)


名人上手はものすごい質と量を求められるらしいし…。


だがしかし、高田文夫センセの言葉を借りれば、

「人気という不確かなものに人生を丸々捧げ、

ひっそりと芸を磨き、夢を売る人々」

なのだから、

こちらがそういうことを

慮るのは野暮なのかもしれない。



番組は、


新作「狸の紹介」 花いち


「二階ぞめき」 ゲスト・台所おさん


新作(ネタおろし)「新しい口」 花いち


お仲入り


「親子酒」 花いち



古典の「狸」シリーズを踏襲した擬古典の「狸の紹介」は二度目の拝聴。

恩返しに来た狸が、狸界でのイイ女を嫁候補として連れてくるという、

人間と狸の感覚のズレがすこぶる楽しい噺。

(ex.イイ匂い→獣臭など(笑))

また、花いちさんのイイ雌狸アピールは鉄板だろう。

さらっとした噺だが爆笑必至。


そして今回のゲストもすごい。

兄弟子である台所おさん師。真打登場である。

おさん師ももっと聴きたい人なのに聴けてない人なので、

聴けて嬉しい限り。


花いちさんとの食事や旅行の思い出話をマクラに。

地方の花街をひやかした話も炸裂させて、

「二階ぞめき」へ。

(ぞめきとは遊郭や夜店をひやかすことひやかし客のこと。)

これがまぁ強烈(笑

この噺は、

吉原をひやかすことが大好きな若旦那のために

家の二階に吉原(建造物のみ)を作ってしまう

という突拍子もない噺。


二階で若旦那が一人妄想劇を繰り広げる場面が見せ場なのだが、

おさん師の一人妄想劇のおかしいことこの上なし!

年増の女郎、肩がぶつかった男との喧嘩など

一人何役も演じる若旦那

を演じるおさん師。

大いに笑った。

フラまみれなんだけどテクもあるという印象。

花緑師匠に3D落語と言わしめた迫力も十分堪能した。


そして花いちさんの新作ネタおろし。

女性ファッション誌の編集会議から始まる物語…。

アヒル口に次ぐ、新しいモテ口を提案する企画会議の様子が

実に滑稽。

早い話が顔芸メインの噺である(笑)

古典で言えばさしづめ「にらみ返し」か。違うか。

様々なモテ口が提案され、使用例も披露されていく場面が見せ場の

とてもわかりやすい噺で楽しめた。

最近の花いちさんにしては物語性を抑えた印象。

(というか、僕が聴き始めた時期に

たまたま物語性が高い新作が続いただけだったのかも(笑))

これも大いに笑わせてもらった。


「親子酒」は二度目だったか。

最初、お酒を飲むイメージがなかった花いちさんが

この噺を演るのに違和感があったが、それは一瞬だけ。

呑兵衛の噺でありながら、

爺さんと婆さんの夫婦の微笑ましさが妙に印象に残り、

彼の古典の中でも好きなネタになった。


今回はグレードアップしすぎの感もあるが(笑)

爺さんが勢い余って英語を話すところや、

親子共通の酔った時の癖だとか、

前回なかったくすぐりがちらほら。


個人的に好きなのは、

爺さんが「お前は私が長生きするというと嫌な顔するんだね」

とボヤくとこ。

ここ大好きである。



今回も大いに笑って楽しんだ。

花いちさん、おさん師、主催されている方々に感謝!






余談1

この日まで、

花いちさんの高座を聴いた数

57席。


もちろん聴いた数が多いとか少ないとかで

優劣を測るつもりはありません。


こういう落語ファンだという事実として、

何かの目安として、記しています(笑)



余談2

「親子酒」は五代目小さん大師が

短く刈り込んで「目白オリジナル」にしたと、

小里ん師の本にあった。

そちらもぜひ音源を探して聴いてみたい。

落語と

連日、寄席、落語会、ホール落語に出かけて行きたいです。 その記録です。